1年生の情報Ⅰの授業としてデータサイエンス講座を行いました!

島根大学生物資源科学部の江角智也教授にお越しいただき、「さくらの開花予測とゲノム解析」というテーマで講義をしていただきました。

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 これまでさくらの開花予測は過去の開花日や気象データを基にした予測が行われていますが、江角先生はさくらの花芽に含まれる遺伝子の発現(メッセンジャーRNA)を元に開花予測を行うという全く新しい手法を研究されています。

RNA-seq法による発現遺伝子の解析法や、雑種であるソメイヨシノのゲノム解読には最新の解析機器(シークエンサー)を用いなければならないことなど、高度な知識を要する生物学の内容について具体例を用いながら分かりやすく説明していただきました。

また、ソメイヨシノのゲノム解読で見出された約95,000個の遺伝子のうち、開花前の芽や花で発現しているおよそ3万個の遺伝子の発現量変化の解析データから、開花の2~3週間前に大きく発現量が変化する遺伝子を開花予測の指標(マーカー)にできるとの説明がありました。

新型コロナウィルスの検査にも使われているPCR法でマーカー遺伝子の発現量を調べ、その発現量の数値データから予測される開花日を計算することができます。

研究はまだ初期段階ではありますが、従来の予報と組み合わせて使うことなどにより、より高い精度で開花予測ができるようになるかもしれません。

さらに、さくら1樹1樹に開花予測を付けていくことも可能になると期待されています。

春の花見の時期には観光需要が増えて経済活動が活発になることから、開花予測がいかに重要かを理解することができました。

情報2

 講義の途中には、各自のChromebookを用いて「かずさDNA研究所」のWebサイトにあるさまざまな農作物のゲノムデータベースを閲覧し、色々な植物のATGCの塩基配列データ(遺伝子情報)は世界中の誰もが利用できることを確認しました。

今回の開花予測に限らず、美味しく食べられる農作物を作るためにこういったデータが活用されていることを学びました。

お忙しい中、ご講演をいただきました江角智也先生に感謝の意を表します。ありがとうございました。